古物営業の許可を受けられない者

2015.06.16

欠格事由

古物営業法第4条には、古物営業の許可を受けられない者が規定されています。これを『欠格事由』と言います。

第4条には、『公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。』と規定されているので、古物営業の許可を受けれない者に該当する第一号から第八号の内容を分かり易く説明してみましょう。

第一号:成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

第一号には、「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。
ここでポイントなるのが、以下の3つの言葉の意味です。

  • 成年被後見人
  • 被保佐人
  • 復権

「成年被後見人」とは?

知的障害や精神上の障害により判断能力を欠く状況にあるとして家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者を「成年被後見人」と言います。
この家庭裁判所の後見開始の審判の請求は、本人、配偶者、4親等内の親族、または検察官などが行うこととなります。

家庭裁判所から「成年被後見人」の審判を受けると、東京法務局の後見登記等ファイルに記録されることになります。ですので、成年被後見人に該当していないことの証明は、東京法務局が発行する「登記されていないことの証明書」ですることになります。但し、平成12年3月31日以前には、禁治産者(現在の「成年被後見人」に該当)として本籍地のある市役所に通知されていましたので、平成12年3月31日以前については本籍地のある市役所が発行する「身分証明書」で証明することになります。

「被保佐人」とは?

知的障害や精神上の障害により判断能力が不十分であるとして家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者を「被保佐人」と言います。
この審判の請求も、後見開始の審判請求と同様に、本人、配偶者、4親等内の親族、または検察官などが行うこととなります。

家庭裁判所から「被保佐人」の審判を受けると、東京法務局の後見登記等ファイルに記録されることになります。ですので、被保佐人に該当していないことの証明は、東京法務局が発行する「登記されていないことの証明書」ですることになります。但し、平成12年3月31日以前には、準禁治産者(現在の「被保佐人」に該当)として本籍地のある市役所に通知されていましたので、平成12年3月31日以前については本籍地のある市役所が発行する「身分証明書」で証明することになります。

「復権」とは?

借りたお金が返せなくなった場合に「自己破産」という手段があることはご存じだと思います。要は、借金をなかったことにする制度です。
この自己破産の申し立ては裁判所にすることになるのですが、その裁判所が免責決定すると借金がなかったことになります。この状態を「復権」と言います。

自己破産の申し立てをしてから免責決定(つまり、復権)するまでの期間は数カ月です。場合によっては、申し立てと同時に免責が決定する「同時免責」ということもあります。

よく、自己破産されてから数年経過している人で、「自分は古物商許可を取れないのではないか?」と勘違いしている人がいますが、免責決定(つまり、復権)していれば、欠格事由には該当しません。ただ、裁判所が免責決定をしなかった場合は、もちろん「復権」の状態ではないわけなので、古物営業の許可を取得することができません。「復権」の状態になるには、破産宣告後10年を経過するのを待つか、借金を全額返済するかです。

自己破産の通知は本籍地のある市役所にされることになりますので、「復権」の状態であることの証明は、本籍地の市役所で発行する「身分証明書」ですることになります。

第二号:禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四十七条 、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者

第二号には、「禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百四十七条 、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。
ここでの解説のポイントは、以下の3つになります。

  1. 禁固以上の刑とは?
  2. どの罪による罰金刑が対象となるのか?
  3. 「執行を受けることのなくなった日」とは?

禁固以上の刑とは?

犯罪を犯した場合の刑罰は、重い順に「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料」と定められています。なので、禁固以上の刑というと、「死刑、懲役、禁固」が該当することになります。これらの刑を受けている人が対象になるということです。懲役刑と禁固刑の違いは、刑務作業(強制労働)があるかないかの違いです。懲役刑は刑務作業が義務付けられていますが、禁固刑には刑務作業は義務付けられていません。但し、自分の意思で刑務作業を行うことはできるようです。

罰金刑の場合、どの罪による罰金刑が対象となるのか?

罰金刑になった場合、すべてが対象となるわけではありません。特定の犯罪で罰金刑になった場合のみ対象になります。この記事の頭に記載した古物営業法の条項の「古物営業法第三十一条、刑法第二百四十七条、第二百五十四条、第二百五十六条第二項」が、その「特定の犯罪」に該当します。

これらの「特定の犯罪」に該当するものを分かり易く説明すると以下のとおりとなります。

  • 古物商許可を取得せず、古物営業を行った。
  • 不正な手段で古物商許可を取得した。
  • 自分の古物商許可で他人に古物営業をさせた。
  • 古物営業の停止命令に違反した。
  • 背任行為をした。
  • 遺失物等の横領をした。
  • 盗品などを運搬・保管・有償で譲り受け・有償の処分のあっせんをした。

上記のような行為を行い、罰金刑になった人が対象になるということです。

単に、スピード違反や駐車違反などで罰金を払った人までもが欠格事由の対象となるわけではありません。

「執行を受けることのなくなった日」とは?

「執行を受けることのなくなった日」のことを「刑の執行猶予期間が終わった日」のことだと思われる方がいるようですが、それは間違いです。
刑の執行猶予期間を経過すると刑の言渡し自体が失効しますので、執行猶予期間が終わった日は「刑の執行を受けることがなくなった日」に含まれません。

「刑の執行を受けることがなくなった日」とは、

  • 仮釈放後の残刑期間経過
  • 刑の時効成立
  • 恩赦による刑の執行免除

上記に該当する日のことを「刑の執行を受けることがなくなった日」と言います。

第三号:住居の定まらない者

第三号には、「住居の定まらない者」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。

この「住居の定まらない」というのが具体的にどういう状態のことを言っているのかが問題となるところです。

「住居の定まらない者」の判断の基準

古物営業許可の際には、許可申請者(法人申請の場合は役員全員)と管理者の住民票を提出することになっています。この住民票上に記載されている住所にちゃんと住んでおられる場合は、「住居が定まっている」と判断されるので何も問題はありません。

問題となるのは、住民票上に記載されている住所に住んでおられない場合です。住民票の役割は「住民の居住関係を公証する」というものです。ですので、「住民票上の住所=実際に住んでいる住所」となっていなければなりません。「住民票の住所≠実際に住んでいる住所」となっている人ならば、当然に「住居が定まらない者」と判断されるということになるのです。

例外

それでは、住民票上に記載のある住所に住んでいない場合には必ず「住居の定まらない者」と判断され古物営業許可が100%取得できないかというと、そうではありません。例外があります。それは、住民票上に記載のある住所に住んでいないことに合理的な理由がある場合です。
例えば、住居の建替えで、その間に仮住まいとして一時的に別の場所に住んでいる場合などです。このような場合は、一時的な仮住まいにわざわざ住民票を移動していないことを合理的な理由として判断してくれることがあります。

第四号:第二十四条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)

第五号:第二十四条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの

第四号には、「第二十四条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)」が、
第五号には、「第二十四条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。

この第四号と第五号はずいぶん長ったらしく小難しく書かれていますが、簡単に言えば、『古物営業許可の取消処分を受けた者は、その処分の日から5年間は古物営業許可を取得することができない』というような内容です。

ただ、この条文の内容を詳しく把握してもらうために、以下のことを合わせて説明します。参考程度に見るぐらいで結構です。

ここで説明するのは、以下の3つになります。

  1. 古物営業許可の取消理由となる第二十四条の規定
  2. 聴聞とは?
  3. 取消処分前に許可証を返納した場合の取得できない期間

古物営業許可の取消理由となる第二十四条の規定

古物営業法の第二十四条には、古物営業許可が取り消される理由が以下のように挙げられています。しかしながら、必ず取消処分になるわけではなく、6か月以内の営業停止処分の場合もあります。

  • 古物営業法等の規定に違反して、盗品等の売買等の防止や盗品等の速やかな発見が著しく阻害されるおそれがあると認めるとき
  • 古物営業法に基づく処分や指示に違反したとき

聴聞とは?

「聴聞」とは、許可の取消処分や営業停止処分を受ける前に、口頭で申請者側の意見を言える場のことです。取消処分や営業停止処分は、いきなり行政から下されるわけではなく、申し開きをする場が与えられているということです。

取消処分前に許可証を返納した場合の取得できない期間

通常、取消処分になった場合、処分になった日から5年間は取得できませんが、取消処分になる前に事前に許可証を返納した場合は、許可証を返納した日から5年間取得できないことになります。要は、罪を素直に認めて許可証を事前に返納すれば、ほんの少し許可が取得できない期間が短くなりますよ、といったところでしょうか。

第六号:営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第八号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。

第六号には、『営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第八号のいずれにも該当しない場合を除くものとする』が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。

ここで理解すべきことは、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、どのような未成年者のことを指しているかということです。

営業に関し成年者と同一の行為能力とは?

「営業に関し成年者と同一の行為能力」とは、以下の2つのことを指しています。

  1. 未成年者が婚姻した場合
    未成年者であっても、婚姻した場合は成年とみなされます。だから、「成年者と同一の行為能力を有する」ことになり、古物営業許可を取得出来ることになります。
  2. 法定代理人(親など)から営業の許可をもらった場合
    未成年者であっても、親などの法定代理人が同意してくれれば「営業に関し成年者と同一の行為能力を有する」ことになり、この場合も古物営業許可を取得できることになります。

それでは、上記の2つに該当しない「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」が絶対に古物営業許可が取得できないかというと、そんなこともないということが、この記事の上部に記載した古物営業法第四条の第五号の但し書きの部分です。

「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」であっても、相続人なら古物営業の許可を引き継ぐことができますよ!という内容です。しかし、その相続人の法定代理人が上記の第一号から第五号及び第八号に該当している場合はダメですよ、と書かれています。

第七号:営業所又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者

第七号には、「営業所又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。

これは、古物営業許可が単に申請者自身に取得できな理由(欠格事由)がある場合だけでなく、営業所の管理者に相応しくない者を選任した場合も許可を取得することができないことを示しています。つまり、管理者に相応しくない者とは、どういう者のことを指しているのかを理解することがここでのポイントです。
営業所の管理者に相応しくない者とは?
古物営業法第十三条から、次のような者は管理者になることができないことが分かります。

  • 未成年者
  • 第四条第一号から第五号までのいずれかに該当する者
  • 当該営業所に係る業務を適正に実施できない者

未成年者

例え未成年であっても、古物商許可が取得できるケースがあることが、第六号で説明されていました。
しかし、どんなケースであろうとも、未成年者は管理者にはなることができません。婚姻している者であっても、又は、営業することを法定代理人に同意された者であっても、未成年者は管理者になることはできないのです。

第四条第一号から第五号までのいずれかに該当する者

管理者にも同じ欠格事由があってはならないことを表しています。

上記の「未成年者」と「第四号第一号から第五号までのいずれかに該当する者」の2つ事項については、古物営業法第十三条第二項に『次の各号のいずれかに該当する者は、管理者となることができない』と記載されている各号の内容のことなので分かり易いのですが、これ以外にも、「管理者に相応しくない者」をこの第十三条第一項の条文から読み取らなければなりません。

それが、第十三条第一項に記載されている『業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。』という部分です。

当該営業所に係る業務を適正に実施できない者

管理者になれない者を古物営業法上で判断する取る時に見落としがちなのが、この「当該営業所に係る業務を適正に実施できない者」というもの。これが、具体的にはどういう者のことを指しているか?というのを理解しなければなりません。
例えば、当該営業所と管理者の住居が著しく離れている場合などです。通常に通勤できる範囲でなければ、その営業所での業務を適正に実施できる者とは言えないからです。
他にも、他の古物商の営業所の管理者になっている者は、当該営業所の業務を適正に実施できるとは言えないので、やはり管理者になることができません。

第八号:法人で、その役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの

第八号には、「法人で、その役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの」が、古物営業許可を受けれないことが規定されております。

つまり、法人申請の場合は、取締役や監査役などの役員が、第四条の第一号から第五号までの欠格事由に該当する場合は、法人での古物営業許可を受けれないということです。欠格事由に該当する役員がいる場合は、その役員が退任しなければ、古物営業の許可を受けることはできないのです。

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